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Sojin Project / Hong Kong, August 2004

HOME > Touring Impression > 極私的世界地図 > 香港食べ歩き2泊3日
※初めての海外旅行はパックではなく,安売り航空券での香港。中国語はまったく話せない。といっても実は同行者は中国人。香港でのホテルその他の手配は,地元香港出身の知人にすべてお任せ。ということでまったくのお気楽グルメ・ツアーでした。

[1日目] - 関空KIX出国 - ライター - 免税店 - キャセイ(CX) - 香港HNG入境 - タクシー(的士) - 左側通行 - 九竜 - 尖沙咀 - 両替 - 佐敦 - カメゼリー(海天堂) - 油麻地 - 地鐡(地下鉄) - 尖沙咀 - 佛教華夏中醫學院 - 漢方医 - 鍼灸 - 香港島 - 灣仔 - 金細工 - 海底トンネル - 新界 - 西貢海鮮街 - 通記海鮮酒家 - 尖沙咀 - マルコポーロホテル・ホンコン - [2日目] - LIFT/GF - 尖沙咀 - 鴻星海鮮酒家 - 飲茶 - 月餅 - 東涌 - バス - 昂坪 - 寶蓮寺 - 大仏 - 信仰 - 精進料理 - ニュータウン - 尖沙咀 - 「ニセモノヤスイヨ」- 重慶大厦 - ハーゲンダッツ - 富臨火鍋酒家 - 青島麦酒 - 紹興酒 - [3日目] - 尖沙咀 - 中式朝定 - 腸粉 - 空港HNG - 身体検査 - 喫煙室 - 両替 - 帰国 - [後日譚] - 大阪で香港飲茶
[写真] : カメゼリー・他(2葉)  西貢海鮮街(4葉)  寶蓮寺(2葉)

2004/08/14(土)

香港2泊3日−1日目

 10:15関空発のキャセイで,香港へ。
 空港へ着くと,まず4階国際線出発ロビーの南団体受付カウンターのJTBで二人分の航空券を受け取る。格安航空券の申込書には2時間前までに受け取りに来いと書いてあるが,これでは時間がたっぷり余る。3階で,機内で使うつもりのスリッパや小物を買ったりと時間をつぶす。頃合いを見計らって,連れのJとキャセイのチェックイン・カウンターへ。パスポートと航空券を見せて,搭乗券を受け取り荷物を預ける。
写真 : こんな格好で飛行機乗って香港へ ここでちょっとトラブル。以前千歳便に乗るときに引っかかったスイスアーミーナイフとドライバーは預ける荷物の方へ入れたのだが,今度はライター。預ける方のカバンも合わせて1つしか持ち込めないという。カバンに入れた煙草入れに2つ入っていた。胸ポケットと合わせて3つだ。Jが横から手を出して1つを預かってくれたので,1つだけ没収される。(後で考えるとウェストポーチにもう1つ入っていたんだけどね。)
 4階出発ロビー北端奥の英国屋で朝食を取る。Jは朝からワッフルを頼み結局食べ切れない。出国ゲートは問題なく通過。中へ入ると免税店がずらりと並んでいる(って一度でも海外へ出かけた方は先刻ご承知でしょうが)。ここでJが引っかかってしまう。海外初体験のというより,飛行機なんてほとんど乗ったことのない私はやきもきするが,中国からの留学生で慣れたもののJは「大丈夫。問題ない」と繰り返すのみ。10時を過ぎてやっと搭乗口へ向かうと,またもや途中のショップへ入るJ。おーい,15分離陸だぞぉ。
 定刻に離陸。二人とも夜更かしをしてあまり寝ていないので,就寝モードへ。3時間半,寝て,昼食して,また寝ているうちに到着。昼食はチキンか魚を選べと。フレッツのCMのように途中で選択の余地がなくなることもなく,二人とも魚を選ぶ。
 うとうとしているうちに時間が経って,いよいよ着陸。私はサマータイムで時差がないと思い込んでいたが,中国ではサマータイムは廃止されたとJ。言うとおり香港でも廃止されていて一時間の時差がある。面倒なので時計はJSTのままで過ごすことにする。旅行中,時計を見るたびに頭の中で一時間戻す。
    *
 さて香港入境。で,ゲートでまずトラブル発生。パスポートを係官に渡すと,二人とも入国カードを書いてなかった。そういえば飛行機の中で書きましょうと旅行ガイドブックにあったが,キャセイは何にも言ってくれなかったぞ。って,ひょっとして二人とも寝ていた間に?
 追い返されたので後ろのカウンターで入国カードを書く。また列の最後にならぶのかなぁと思っていたら,警備員が列の先頭に呼んでくれた。ところで今回のホテルは,Jの友人で地元出身のAさんにお任せしていたので,どのホテルに泊まることになっているのか知らない。Jも聞いていないとのこと。滞在先空欄のままでいいのかなぁと心配したが,この件はOK。
 無事入境してやれやれと思った途端,再びトラブル発生。手に持っていたはずの帰りの航空券がない。そうだ,入国カードを書いたときにカウンターに忘れたんだ。ここで一人なら大慌てのところだが,今回は中国人との同行。さっそくJが警備員に事情を話してくれる。ゲートの向こうに戻って取って来いとの事。カウンターに戻ると,ちょうど書いていた途中の人の荷物の下にちゃんとあった。さすがは観光地香港。警備員氏は融通が利く。が,その後Jに叱り飛ばされる。
 ロビーまで出たところで出迎えのAさんと再会。Aさんと抱き合って再会を喜ぶJの横で,ご無沙汰といろいろな手配を感謝。4時間以上我慢したチェーンスモーカーの私のリクエストでとりあえず灰皿のところへ。だがこの後も喫煙に関しては苦労することに私はまだ気が付いていなかった。
    *
 まずタクシー(的士)でホテルへ向かうことに。香港はイギリス領だったため,車は日本と同じ左側通行。車窓から見ると走っている車の過半は日本車。後は,BMWやVOLVO,極たまにFORDと,なぜかイギリス車は見かけない。道は広いがどうもまだ外国へ来たという実感が湧かない。地元香港出身でロンドンに10年居たAさんは廣東語(広東語)と北京語と英語と日本語。東北出身のJは北京語と日本語。大阪人の私は大阪語と英語。という3人のため,実はこの旅行中私は,ほとんど日本語しかしゃべらなかった。おかげで最後まで外国へ来たという実感が実は湧かなかった。3人のときはもっぱらAさんが廣東語で交渉してくれるし,二人のときもJの北京語が通じるしで,極たまに英語を使ったぐらいだし,だいたい街の人は皆,日本人と同じ顔と服装をしているしね。AさんとJの二人はお互いに中国語でしゃべりまくっているけど,これは大阪にいるときと同じで慣れている。
 そんなこんなでやっとホテルに到着。チェックインして荷物を預けただけで,すぐに街へでかける。まず両替。旅行ガイドブックでの予習通り,日本円の現金はあまり持って来ていない。クレジットカードで引き出すことにする。Aさんがホテルの近くの両替商(宝くじ売り場のような店舗)に連れて行ってくれるが,ATMで引き出すつもりだと言うと,カウンターの若い女性に廣東語で聞いてくれて,教わったすぐそばの街角の銀行ATMへ。で,日本のカードで香港ドル(Aさんはダラと発音していた。ドルって日本語で言っても現地では通じないよね)を引き出すことに挑戦。最初にAMEXを試したが,このカードは使えませんと拒否されたので,予備のVISAの方を使う。食事や買い物はAMEXで十分だが,街角のあちこちにあるATMではVISAかMasterでないと駄目な場合がほとんど。空港あたりで探せば見つかったんだろうが。
 ATMでは500HK$札と100HK$札が出てくる。500HK$で7000円ぐらいだが,物価水準も考えて500HK$札を一万円札と思うことにする。通貨は複数の銀行から出ているそうで,同じ額面でもさまざまな種類がある。1$硬貨がやたら大きかったりで,よく額面を確認しないと使えない。自販機製造業者は大変だなぁと思う。
    *
 無事HK$も入手し,いよいよ街へ。繁華街の中心あたりで用事があるというAさんと別れる。再会時間を決め,同じ場所で待ち合わせというので,Hollywoodなんとかと書いてあるビルの特徴をよく覚えることにする。この時点でいったい香港のどこにいるのか九龍らしいということしか分かっていない。っていうかチェックインしたとき,どこにある,なんていうホテルか気にしなかったことに気が付く。Jに聞いても覚えていないという。まあAさんの携帯番号を聞いているのでなんとかなるだろう。
 で,Jと一緒にショッピング・ツアーを開始。あとで考えると九龍のメインストリート・ネイザン・ロードの尖沙咀チムシャツォイと油麻地ヤウマテイの間,佐敦ジョートン站(佐敦駅)の周辺をうろうろしていたようだ。ところで街にはうんざりするほど人が出ているのに,なぜかタバコを吸っている人をほとんど見かけない。所々の道端に設置されている上部がドーム型の円筒形のゴミ箱の天辺に吸殻入れが付いているが,その場所でしか吸ってはいけないのか? ショッピングビルに入っても,ほとんどのビルに喫煙スペースがないような。一日50本の私としてはツライ街だ。ただ逆に,地元の人の行く食堂のようなところでは,禁煙席がなく吸い放題。
写真 : カメゼリーはハチミツ?をかけていただく
カメゼリーはハチミツ?をかけていただく
 喉が渇いてきたあたりで,Jのリクエストでニキビに効くというカメゼリーのお店に入る。私はJが注文してくれたよく分からない種類の冷たい中国茶。Jはカメゼリー。店の女性がJに,ハチミツ?をかけて,と食べ方を説明している。が,Jは途中でカメゼリーに飽きて私に押し付けお茶の方を飲む。私はニキビなんかないんだが,乾いた喉にはカメゼリーもなかなか染み込む。ゼリー自体には薬のような味しかないので,ハチミツ?を追加する。この店の名前が海天堂で,ガイドブック(『地球の歩き方・香港マカオ』)の索引で見つける。地図で探すと佐敦駅から西へ2・300mのといったところらしい。やっと自分の居場所を確認する。
    *
写真 : 焼いた豚と,米粉で作った麺く
焼いた豚と,米粉で作った麺
 時間が来たので,元の場所に戻りAさんと合流。なにか食べようということで,どんどん歩く。店先に鵞鳥と子豚の丸焼きがぶら下がった街の食堂といったところに入る。名前は見たが覚えていない。こざっぱりとしたレストランとかではなく,地元の家族連れが大部分の食堂。親がまだ食べている間に食べ厭きた子供がうろちょろしているのは日本と同じだ。観光客らしきグループを見かけないので,どうやら日本人は私一人らしい。甘いタレをつけて焼いたらしい豚がなかなか美味。後,米の粉で作ったという麺やなんやかやと二人に世話を焼かれて食べさせられる。何を食べているのかは,実は分かってないんだけど。
 食後,すぐ近くの入り口から降り,地鐡(地下鉄)にはじめて乗る。油麻地駅とあって現在位置を確認。香港の自動販売機には路線図が付いていて,地図上の駅名を指でタッチすると,表示部分にその駅名が表示され,次に大人・子供・複数枚購入などを選ぶ優れものだ。最後に金額が表示されるので,紙幣ないし硬貨を入る。ただ使える紙幣は小額のものに限られていて,なおかつなかなか入れにくいようだ。
 出て来た切符は,日本の定期券やプリペイドカードのような大きなもの。再利用できるように見えなかったのでちょっともったいない気がする。Aさんはオクトパスカード(八達通)という名前の,使えば金額が減り,減ったら増値機で増やせるという,JR西日本の ICOCA と同じ Sony の FeliCa 技術を使ったICカードを使っている。ところで改札を通った途端,Jが私の切符を取り上げてしまう。旅行中,ずっと切符を持たせて貰えなかった。帰りの航空券をなくしかけた空港での一件でよっぽど信用をなくしたようだ。香港式自動販売機が珍しく,チケットを自分で買うというのにも挑戦したかったが,全部Aさんが仕切ってやらせて貰えなかった。
 香港の地下鉄は,ニュートラムと同じで,プラットホーム側にも扉がついている。「日本の地下鉄はこうしないから事故が起きる」とJがちょっと祖国贔屓で言う。「大阪もニュートラムは…」と私が要らぬ弁解。
    *
 で,地下鉄で移動。しかし次にどこで降りたのか駅名を確認しなかったので,ふたたびどこにいるのか分からなくなる。
 地下鉄を降りた後,体調が悪いというJのために,Aさんの知り合いがいるという中国医(漢方医)のところへ行く事に。失礼ながらあまりきれいといえないビルの二階に上がる。小さな雑居ビルという感じで,入り口には鉄格子の扉がついている。「佛教華夏中醫學院」と書いてあったように思うが,中に入ると街の診療所といった感じで,正面が薬局,左手に二つほど診察室があるようだ。が,右手には大きな祭壇と中に仏像がある。と,AさんとJがいきなり「こっちこっち」と呼ぶのでのぞくと,祭壇と向かい合ってのスペースの奥でTVがついている。その前で,こちらに背中を向けて上半身裸で座った男の人が,今ちょうど大きな鍼を施術されているところ。Jが診察室に入っている間中,鍼治療を見学させて貰っていたが,そのうち大きな鍼の上に灸をすえだした。患者はその間もじっとTVを見ている。
 ここで中国語が読めることを発見。トイレに行きたくなったので周りを見回すと,張り紙に「洗手間」とあり,下に「なんとか大門なんとか」とある。トイレのことらしいと推察する。下の文は,入り口のドア出て右手,という意味らしい。「大門」って書いてあっても,ただのドアだけど。出て見るとちょうどスタッフらしき白衣の女性が出てきたところ。やたら細長いスペースの奥に便器があった。
 ところで前述の男性は,私たちが帰るときにもまだ鍼灸の施術中だった。ご苦労様。
    *
 ふたたび今度は3人で街をぶらぶらする。地下鉄で香港島側の灣仔ワンジャイへ移動する。あいかわらず現在位置不明のまま。AさんはAさんの買い物があるらしく時々どこかへ。そのあいだJと二人で通りの店を冷やかす。金細工の店が結構並んでいる。見ていると,どうも「細工」の値打ちではなく,単に金のグラム数で値段が決まっているようだ。預金封鎖や新円切替が,香港人にとっては歴史の教科書の話ではないのだろう。
 昼遅くに簡単な食事をしていたのでずいぶん遅くなってから,いよいよ夕飯ということに。今日の正餐は海鮮でいいか?ということで,Aさんがタクシーを捉まえ,ドライバーと交渉。3人で乗り込む。
 車は海底トンネルを潜って九龍側にで,夜の都心を抜け,郊外らしき町並みを走る。やがて黒々とした山並みが近づいて来るがスピードを落とさない。高速道路ではないはずだが,なぜか香港は信号がほとんどない。どこまで行くんだろうと,お任せ気分で座っていると,ずいぶんと走ったころ右手に突然夜の海が現れる。たくさんの船が浮かんでいるが漁船ではなく,レジャーボートのようにも見える。と,ふたたび市街地へ。大阪の郊外のちょっとした小さな駅前のようだ。街中へ入ると,タクシードライバーとAさんとであれこれ相談するうちに派手なネオンの並ぶ一角に。旅行ガイドブックの地図で確認すると,新界東部の西貢サイコンという港町らしい。ガイドブックに観光地として載っている。
 走り出してすぐにさっきの友人の中国医と携帯で話していたAさんが,都心は今土砂降りらしいというが途中は雨の気配はなかった。しかし着いた途端急に降り出す。タクシーからあわてて向かいのビルの軒下に駆け込み,一軒のレストランの中へ。テーブルに付いたと思ったら,これから海鮮を選びに行くからと再び立ち上がって,店の傘を借り,店の男性の案内で,岸壁沿いにすぐ先のアーケードまで。「西貢海鮮街」とある門をくぐると,最初の部分はオープンカフェのようにテント地の大きな雨覆いの下に何客ものテーブルが並べられ,たくさんの食事中の家族連れで盛況である。奥はそのお店の水槽らしい。その次の一番スペースをとった何十もの水槽のならんだところが,私たちのお店の「海鮮市場」らしい。「通記海鮮 トンキー・シーフード」と漢字・英語・カタカナで書かれてある。大助花子の花子さんを若くしたようなメガネの女性が,巨大な伊勢海老(?)を掬い出し,案内の男性がJに持って見ろという。両の触覚を持って伊勢海老をこわごわ掲げて見せるJをハンディカムで撮影。Aさんが「イセエビ食べるか?」「カニ食べるか?」と頻りに聞いてくれるが,見ても種類も名前も分からない私は,全てお任せする。カキは「貝大好き」のJのリクエスト。
まずは海老を選ぶ海老を持って記念撮影へ
写真 : まずは海老を選ぶ写真 : 海老を持って記念撮影へ
写真 : ポリ袋で厨房に運ばれる写真 : これも美味しそう
ポリ袋で厨房に運ばれるこれも美味しそう

 食べきれるの?というぐらい選んでから「通記海鮮酒家」のレストラン部に戻る。テント覆いの下を出ると雨は上がっていた。
    *
 テーブルに着くと各々に色違いの箸が二膳ずつならんでる。Aさんに聞くと片方は取り箸だけど気にしなくていいと。いずれのレストランでも,ちょっとしたところでは,重量感のある長い立派な箸が出て来る。
 で,まずはさっきの海老から,カキ,名も分からない巻貝・魚料理,と次々と出て来る。刺身は避けようということで,みんな火が通った料理で,クリーミーな中華の味付けが多い。海老は期待通りの味,とにかく大きい。巨大なタニシのように見える巻貝。Jが爪楊枝?で身を引きずり出してくれるので食べてみる。小ぶりなツブ貝といった感じか。超肥満のカレイ?のような魚の煮付けや,おおぶりのカキも味付けはもちろん中華風。カニは復元されたバラバラ殺人事件状態で,真ん中にうどんを抱えている。ちょっと贅沢。ハサミも美味だった。
 とりあえずのビールは,バイトらしきミニスカートの女の子のTシャツの胸のロゴをAさんが指して勧めてくれたハイネケン。私は前から「香港行ったら紹興酒!」と言っていたので,Aさんがそれも注文して置くか?と聞いてくれたのに,Jが冷たく一言「ダメ」。「今日はそれだけ」と言われて,ハイネケン一本しか飲ませて貰えなかった……
 で,まあ一本だけだけど,飲めばトイレということで,「男洗手間」へ入ってみると,大の方の扉が開けっ放しでつい覗いて見る。中国式の大の方は,いわゆるキンカクシがないんだね。3つ並んだ小の真ん中で用を足していると,続けて入って来た男性が,大の方の扉を開けたまま,聞こえてくる音はどう考えてもただの小用。中国の人は恥ずかしがるのか?
    *
 食べ切れずに残して満腹し,ふたたびタクシーで都心へ戻る。ホテルの前まで戻ってやっと今夜の宿の名前が判明する。マルコポーロホテル・ホンコン。ガイドブックでみると,尖沙咀のスターフェリー乗り場のそばらしい。で,部屋まで行ってみると今までに泊まったことのない広さ。いつも日本で泊まるホテルは,部屋の中にベッドがおいてあるって感じだが,ここは部屋の隅にベッドが置いてあるって感じで,全体でダブルサイズ2つ置いてある部分の4倍以上ある? ウォークイン・クローゼットまで付いている。で,3人で寛いでいると,荷物が運ばれて来る。海外ではチップに頭を悩ませなければいけないと聞いていたが,今回はその辺は全部Aさんにお任せだったのでラクだった。Aさんが「日本のテレビも映るよ」とNHK−BSにチャンネルをあわせてくれるが,さすがに電波が弱そうだ。テーブルにはLANケーブルが来ているが,残念ながらノートを持ってきていない。
 Aさんは,別のフロアーのシングルに泊まっているということで,お休みを言って帰る。昼間入手した漢方薬を煎じるためお湯を沸かしながら,テレビのオリンピック中継で祖国中国を応援しているJを横目にバスルームへ。中は広くてバスタブも「外人」サイズ,シャワー室もドア付き,とオノボリさんになって感心する。なにしろ海外は初めてなんだから。日本から電源の変換アダプタを持ってきたのだが,洗面台を見るとシェーバー用のコンセントは複合型で日本の器具もそのまま使えるタイプ。ハンディカムの充電ぐらいはできそう。
 で,ここでトラブル発生。って考えたら当たり前なんだが,バスローブはあるけど,浴衣は置いていない。いつもの国内旅行のつもりで,最小限の荷物しか持って来ていないことに気付いた。日本人がたくさん泊まるホテルだから,ひょっとして用意があるかもとフロントに電話したけど出てくれない。時計を見ると現地時間でも日付が変わっているし,ちゃんとお気に入りを持って来ているJが,バスローブで寝ればって言うので,しつこく電話せずにあきらめることに。
 と,早朝起きからの長い一日が終わった。
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2004/08/15(日)

香港2泊3日−2日目

 2時前ぐらいまで起きていたはずだが,目が覚めるとまだ7時。冷蔵庫を開けてミネラルウォーターを飲んで,トイレへ行って用を足し,応接セットでタバコを吸って,とゴソゴソしているとJにウルサイと叱られる。Aさんとの待ち合わせは10時ということでもう一度寝直す。
 で9時過ぎ。朝に弱いJがボーっとしている間にATMに行くことにする。HK$は最小限しか持ち歩かないことにしていたので,昨日下ろした分は昨日使ってしまっている。AMEXのカードを見せてフロントで聞いた通りに行くと昨日と同じATMだった。仕方なく今日もVISAを使う。後から考えると今日は日曜日だったがATMはちゃんと動いていた。香港都心はビルの壁や地下道やあちこちに銀行ATMがあって便利。部屋に戻るとJが起きていて,どこ行ってた!と不機嫌な声。そんなこんなのうちに,Aさんから内線電話でロビーで待っているとの事。
 エレベーターで降りるが,ここでJ,ちょっと戸惑う。イギリス圏なので廊下の案内表示は「←LIFTS」,乗ってJが1のボタンを押そうとするので,Gだと訂正。昨日以来の面目をちょっと挽回。調子に乗ってウンチクを言い出そうとしたところで,冷たい目でにらまれ黙る。
    *
 Aさんと合流し,街へ繰り出す。Tシャツが安かったので何枚も購入。レジで英語で値段を確認しながら,HK$で支払う。と,自分の買い物を選んでいたはずのJがいきなり隣に現れて,私が貰ったお釣りが間違っていないか確認する。って,まだ信用回復していないの?
 その後,朝飯抜きの3人でブランチということになり,私のリクエストで飲茶へ。日本人観光客も多いという「鴻星海鮮酒家 Super Star Seafood Restaurant」というお店へ入る。なにしろBGMが「恋の街札幌」とか日本の歌謡曲のインストルメンタル(!)。スタッフの女性が箸袋から箸を出してくれたので,店の名前を覚えて起きたいのでその袋をくれと言うと(※),名刺をくれる。「譚妙彩 Michelle / Captain」とある。よく見るとスタッフの胸の名札は皆イギリス風の名になっている。名刺によるとここは尖沙咀店らしい。注文はメニューの一覧に印をつけるスタイル。二枚複写になっている。で飲茶で大満足して,壁の「月餅」のポスターを眺めていると,お土産に買って帰るか?とAさん。これから観光なのに荷物になるのではというと,ホテルの方へ届けておいてくれるらしい。ということでお土産は「月餅」に決定。中秋の名月にお供えする餡入り饅頭だということで,8月中は「7折(3割引)」だとか。 (※「〜と言うと」 → もちろん私の日本語をAさんが廣東語に同時通訳)
    *
 早い昼食の後,街を歩いていると,チャイナドレスの店が。一緒に入ってみるがJは興味なさそう。一軒の店で,女物・男物・子供用を扱っている。
 結局冷やかしただけで,Aさんが今日は遠出だと地下鉄駅へ。改札を出ずに地下道でつながった中環ヅォンワン駅から香港駅へと歩き,東涌線に乗換え終点の東涌トンチョン駅へ。ニュータウンの中心駅といったところか。Aさんが尋ね歩き,バスターミナルの一番奥の乗り場から昂坪オンピン行きバスに乗る。行列が出来ている。どうやら終点は定番の観光地らしく,今日は晴天の日曜日で家族連れで大挙して繰り出しているらしい。山の上に大仏のあるお寺だという。バスは座席数しか乗客を乗せないが次々と出るらしい。見ると行き先を聞かれて,途中で降りる人たちは別のバスに廻されている。
写真 : 寶蓮寺(ポーリンジー)
寶蓮寺(ポーリンジー)
 バスは山を越え,民宿の並んだ海水浴場のような集落・塘福トンフッを抜け,小さな湖の横を通ってまた山を登りと,小一時間かかってやっと到着。地図で確認すると遥かに遠回りをして,寶蓮寺ポーリンジーに着いたらしい。
 広い境内に善男善女が溢れている。正面の小高い丘の上に大仏が鎮座し,一直線に伸びた石段を人々が列を成す。AさんとJは,私のカメラを奪い,はしゃいで記念撮影を始める。私の方はハンディカムを回す。石段の下でAさんが入場券のようなものを買い,登り始める。上までたどり着くと,遥かに海が見える。さっきのチケットは大仏の胎内に入る入場券だった。Aさんが若いJに,絵や像となった様々な仏さまの解説をする。日本の社寺のような芸術的な側面は少なく,生きた信仰の対象であるようだ。その後二人は売店で,数珠のようなものやペンダントのようなものなどを吟味している。
 大仏の前には,「香油箱」と書かれた賽銭箱と,低い台があり,二人は交代でその台に膝をついて熱心にお祈りしている。
写真 : 大きな線香?
大きな線香?
 下に下りると,今度は大きな花火のような線香を買い求め,専用の場所で火を付け,別のところの大きな甕に挿し,また膝をついて何か熱心に祈る。Jも真剣に祈っている。
 その後,「禁飲酒肉食」とある食堂のようなところへ。さっきのチケットで何か食べ物が頂けるそうだ。Aさんが「スープは温かいのか,冷たいのか」と聞くので,日差しで喉の渇いた私は冷たいスープをリクエスト。Jと二人で席を確保して待っていると,Aさんが行列に並んで三人分取って来てくれる。冷たいスープと,細い焼きソバのように見えるものと,和菓子のようなものである。甘い菓子は苦手だというと,これはありがたいものだから全部食べねばならないとAさんに叱られる。
 帰りのバス停も行列である。また時間がかかるだろうとJと二人でトイレへ。戻ってくると列の真ん中あたりまでAさんは進んでいる。呼んでくれるので,遠慮気味に二人で柵を乗り越え横入りする。回りの人たちは別に気にしていないようだ。
    *
 往きのバスはずいぶん長く感じたが,帰りは寝ているうちに東涌駅へ。往きでは気付かなかったが,ニュータウン風の町並みの高層住宅。本来なら1から3階に当たるだろう部分が,柱のみで支えられていて20階以上はあるだろう建物が空中に浮かんでいる。Jも一緒になって驚いていたので香港特有の建て方らしい。
 千里か泉北を思い出させる清潔でどこか殺風景な東涌駅構内へ。ここでAさんが切符の自販機に紙幣を入れようとして機械が受け付けてくれない。仕方なく Customer Service(客務中心)の行列へ。その間に売店で小物を買い,500HK$札を出してお釣を貰っていると,またJがいつの間にか隣にいて,私の貰った釣銭を数えてくれる。日本では,釣りを数えもしないで仕舞う私をいつも見ているJだが,中国ではそれじゃあダメってこと?
 地下鉄を乗り継いで尖沙咀へ戻る。途中の乗換駅の茘景ライキンまでは混んでいたのでバラバラに座っていたのだが,路線図を見ながら相談していた年配の女性の一人がいきなり中国語で何か尋ねてくる。中国語でまくし立てるのでやっとのことで口を挟むタイミングをつかみ,自分を指差し「ジャパニーズ」というと納得してくれた。乗換え方を聞いてきたらしい。後でガイドブックを見ると,寶蓮寺は本土からの観光客の方が多いとのこと。ひょっとすると香港に不慣れなお二人だったかと思う。一気に空いたので3人集まると,遠くから見ていたらしいJが「何話してた?」とチェックを入れる。
 香港の地下鉄車両は,大阪と同じ向かい合わせのベンチシートだが,私の右隣に二人ほど挟んで小さな子供が座っている。いや座っているというか結構活発に玩具を振り回している。向かいの席にいる若い二人が両親らしい。2+1と席が空いているときにはどちらかの親が子供と座ると思うのだが,これが香港流? それともこの二人だけの流儀か? ちょっと暴れだしたので,次の駅で席が空いたのを潮に,向かいの二人が自分たちの間に子供を座らせたが,ますます活発に。これっていわゆる「小皇帝」? AさんとJはニコニコしながら子供の様子を見ている。「男の子?女の子?」と聞いたら,「女の子に決まってるでしょ」とJに呆れられた。
 往きと逆に香港駅から中環駅へと乗り換えるが,地元のAさんもちょっと迷う。
    *
 尖沙咀駅でAさんと別れ,二人でブラブラする。最初ネイザン・ロードの東側を歩くが,どうも怪しげな雰囲気。明らかに外国人に見える男が何人も「ニセモノ,ヤスイヨ」と怪しい日本語で声をかけて来る。ノドが乾いたね,ということで喫茶店を探してうろうろするが見当たらない。もう二年半も大阪にいてすっかり日本感覚のJと,香港はなんで喫茶店がないんだ,とぼやき合う。うんざりしたころ,いきなりJがお茶の匂いがすると,入り込んだビルが例のチョンキン・マンション(重慶大厦)。ますます怪しさ満点で,私としては興味津々だったのだが,Jを連れているのでさっさと出る。で,道の西側がいいんじゃないと,ネイザン・ロードを渡ってやっとハーゲンダッツで休憩。私はアイスコーヒーを頼んだが,Jはレモンティー。香港のレモンティーはハーゲンダッツでもやっぱりレモン大盛りだった。
 うろうろして汗をかいたので,ホテルへ戻る。Jはシャワーを浴びているが,私はとりあえずベットに倒れ込む。
    *
 そんなこんなで休養しているうちに,内線でAさんから夕食の誘い。リフトで降り途中の階のAさんの部屋へ。何も考えずJについて入ってしまってから,え,女性の部屋に入っていいの?と気が付くが,Aさんが気にしていないようなので,Jの後ろで目立たないようにする。シングル・ルームは日本のホテルと変わらないようなスペース。
 Aさんの出かける用意がととのい,3人でロビーに降りる。今夜は「香港風しゃぶしゃぶ」に案内してくれるという。尖沙咀の「富臨火鍋酒家 Foo Lum Hot Pot Reataurant (富臨燒鵝海鮮酒家の支店)」という店。で,そのしゃぶしゃぶは,中に入れるものを単品ずつメニューから選ぶ。牛肉や魚やキノコ・野菜などなど。単品で選ぶから,椎茸の皿にしても,エノキ茸の皿にしても,結構なボリューム。確かに肉だけは軽くお湯に通すが,それ以外はどちらかというと,寄せ鍋と違うん?といった感じ。まあ私たちが注文した材料の加減かも知れないが。
 今日のとりあえずのビールは青島。日本ではチンタオは美味しくないと思っていたのだが,こちらで飲むと甘ったるいハイネケンより遥かにまし。「ビールを」飲むならやっぱりエビスだが,中華料理には青島が合う?
 で,今日はJの許可が出たので,紹興酒を暖めて貰う。持って来たお湯に店員がビンごと入れると,Aさんが中国式の急須の方に入れ替えろと指示。全部飲むならビンごとでいいが,飲み切れなくて残った分を持って帰るのだから,ビンは暖めないほうが良いとのこと。
 ということで今日は気持ち良く酔って,紹興酒のビンを持ってホテルまで帰る。
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2004/08/16(月)

香港2泊3日−3日目

 6時に電話が鳴る。知らない間にJがモーニングコールをセットしていた。
 今日は帰国。10:05のキャセイでAさんが日本に帰るというので,それにあわせて同じ便にしてある。というわけで今日は,観光なしで空港へ行くだけだ。
 手荷物だけ持ってロビーに降り,Aさんと合流してチェックアウト。そのままホテルを出て北京道の方へ。ランガムホテルの向かいの地下道をくぐって左(北)へ少し行った先の道の右側の食堂に入る。透明ビニールのノレン(冷気逃げを防ぐもの?)をめくって入ると,いかにも街の定食屋といった感じの店。名前は忘れてしまった。メニューは「中式朝定」と「西式朝定」。パウチされたメニューをめくると,「中式昼定」と「西式昼定」が出て来る仕掛けになっている。メニューを見ても「焼賣」ぐらいしか見当がつかないのでお任せする。お粥に入れる具+おかず+ドリンクを選んで20HK$だったか。他にも何種類かの朝定があるようだ。何かの入ったお粥と小籠包(具不明)4つとホットコーヒーが出て来る。Aさんだけ小籠包の代わりに白いイカのような光沢のものを頼んでいる。勧められたのでつまんでみると暖かく,米粉で作ったもののようだ。名前を聞いたが中国語で言われても頭の中で漢字に変換されないので覚えられない(後日,確認すると「腸粉」という名前。といっても内臓ではなく,丸く巻いた形から付いた名前のようだ。香港點心(点心)メニューの一つ)。
    *
 ホテルに戻るとすでに荷物が部屋から降ろされている。ボーイがタクシーに積み込んでくれて,トランクに積んだ荷物に間違いがないか確認を求めてくる。Aさんがチップを渡して,後は乗り込むだけ。
 空港へタクシーの着いたフロアーがそのまま出国ロビー。香港には空港は一つしかないんだから,国際線・国内線の区別がないんだよね。
 キャセイのカウンターへ。ややこしいことは全部Aさんが廣東語で処理してくれる。で,北京語でJに伝わり,Jが日本語で私に説明する。ようやく荷物を預け,搭乗券を発行して貰い,出国ゲートへ。Aさんが「問題ない」から行列のない香港人用のゲートに一緒に行こうと誘うが,内地人のJと日本人の私は追い返される。しかたなく二人で外国人用のゲートの行列の後ろに並ぶ。
 金属探知機で引っかかる。いつもベルトの金具で反応するのだが,関空からの出国のときはなぜか引っかからなかった。女性の係官が早口の中国語で何か言う。連れのJが北京語を話しているので,私も中国人と思ったようだ。「ジャパニーズ」と言うと「身体検査」と日本語で。反応は2箇所。いつものベルトの金具と,ジーンズのポケットのライター。係官はライターをしげしげ見ていたが結局返してくれた。
 関空では喫煙コーナーが見つからず建物の外の灰皿のところで吸ったが,香港の空港には二重扉で密閉された喫煙室が用意されている。喫煙室の隅のコンセントで携帯に充電しているビジネスマンらしき中国人男性が居た。充電中もひっきりなしに携帯がなる。
 免税店の並んだフロアーに何箇所か両替コーナーがある。少額しか残っていなかったので別にかまわなかったのだが,ものは試しで両替してみる。HK$を数えて電卓で計算した係官が,日本円で240円出せというので渡すと,2000円と10セント帰ってきた。
 搭乗券には9:45までに来なきゃ乗せてあげないよ,と書いてあるが,例によって大幅に遅れてギリギリに搭乗口へ。
 帰りの便は定刻より遅れて離陸。
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後日譚

大阪で香港飲茶

 今回の3人で,大阪で香港飲茶しました。 → 「
香港食べ歩き後日譚
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